「季節の変わり目に抜け毛が増えた気がする」
「女性型脱毛症と一時的な抜け毛はどう見分ける?」
「ツボ押しで薄毛を予防・改善できる?」
季節によって毛の抜け方に変化がみられたとする研究はありますが、抜け毛の原因を季節だけで判断することはできません。女性の薄毛には、女性型脱毛症(FAGA)、休止期脱毛症、円形脱毛症、牽引性脱毛症、頭皮の病気など複数の原因があります。
この記事では、季節性に関する研究と皮膚科領域の診療情報をもとに、女性の抜け毛の原因、ツボ押しの科学的な位置づけ、日常生活でできるケア、皮膚科を受診する目安を整理します。
- 季節による抜け毛の変動を示す研究はあるものの、個人の抜け毛の原因を季節だけで説明することはできない
- ツボ押しによるFAGA・女性型脱毛症の発毛効果や予防効果は確立していない
- 急な脱毛、円形の脱毛斑、頭皮の赤み・痛み、分け目の拡大が続く場合は皮膚科で原因を確認する
- 食事やサプリメントだけで自己判断せず、鉄欠乏や甲状腺疾患などが疑われる場合は医療機関へ相談する
※2026年8月19日に、日本皮膚科学会の診療ガイドライン、米国皮膚科学会の患者向け情報、PubMed掲載研究を確認して更新しました。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、診断や治療の代わりになるものではありません。
季節の変わり目に抜け毛が増えることはある?

健康な女性823人を分析した2009年の研究では、休止期毛の割合に季節変動がみられ、夏に最も高く、春にも小さなピークが示されました。ただし、これは特定の医療機関を受診した女性を対象とした観察研究です。すべての女性に同じ時期・同じ程度の抜け毛が起こることを証明したものではありません。
抜け毛が増えたと感じたときは、「季節のせい」と決めつけず、数か月前の出来事や頭皮の症状、髪の細り方も確認することが大切です。
一時的な抜け毛につながる主なきっかけ
- 出産、高熱を伴う病気、手術、急激な減量など身体への大きな負担
- 強い心理的ストレスや、原因となる負担が長く続いている状態
- 薬の開始・中止など、治療内容の変化
- 鉄欠乏、甲状腺疾患、栄養状態の問題など
米国皮膚科学会の一時的な抜け毛に関する解説によると、休止期脱毛症では、きっかけとなった出来事から数か月後に頭部全体の抜け毛が増えることがあります。一方、女性型脱毛症は分け目が広がる、頭頂部の密度が徐々に低下するといった経過をたどることが多く、両者が重なる場合もあります。
女性に多い薄毛・抜け毛の原因
| 主な原因 | 気づきやすい変化 | 対応の考え方 |
|---|---|---|
| 女性型脱毛症(FAGA) | 分け目の拡大、頭頂部を中心とした徐々の密度低下 | 早めに皮膚科で診断を受け、治療の適否を相談する |
| 休止期脱毛症 | 頭部全体の抜け毛が急に増える。きっかけから数か月後に目立つことがある | 原因となった病気・出産・減量・薬・栄養状態などを確認する |
| 円形脱毛症 | 円形・楕円形の脱毛斑、急な脱毛、眉毛やまつ毛の脱毛 | 自己判断せず皮膚科を受診する |
| 牽引性脱毛症 | 髪を強く引く部分、生え際などの薄毛 | きつい結び方や常に同じ髪型を避ける |
| 頭皮の病気 | 赤み、かゆみ、強いフケ、痛み、かさぶたを伴う | 原因に合った治療が必要なため皮膚科へ相談する |
「びまん性脱毛症」は頭部全体が薄く見える状態を表す言葉として使われますが、それだけで原因が確定するわけではありません。米国皮膚科学会の女性型脱毛症に関する解説では、分け目の拡大や頭頂部の薄毛などが主な変化として挙げられています。見た目が似ていても治療方法は異なるため、長引く場合は診断を受けることが重要です。
ツボ押しで女性の薄毛を予防・改善できる?

結論として、ツボ押しによってFAGA・女性型脱毛症を治療したり、発毛させたりする効果は確立していません。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、女性型脱毛症に対する標準的な治療法が評価されていますが、ツボ押しは推奨治療として扱われていません。気分転換や心地よさを目的に、痛みのない範囲で行うことはできますが、医療機関の受診や治療の代わりにはなりません。
伝統的に紹介される7つのツボ
以下は東洋医学で使われる名称と位置の目安です。位置の取り方には流派や個人差があり、薄毛への効果を保証する一覧ではありません。
| 名称 | 位置の目安 |
|---|---|
| 百会(ひゃくえ) | 頭頂部付近。左右の耳を結ぶ線と頭の正中線が交わるあたり |
| 天柱(てんちゅう) | 後頭部の生え際付近、首の太い筋肉の外側にあるくぼみ |
| 風池(ふうち) | 後頭骨の下、首の筋肉の外側にあるくぼみ |
| 太陽(たいよう) | こめかみ付近のくぼみ |
| 翳風(えいふう) | 耳たぶの後ろ側にあるくぼみ |
| 四神聡(ししんそう) | 百会の前後左右を囲む4点 |
| 角孫(かくそん) | 耳を前に折ったとき、耳の先端が触れる側頭部付近 |
ツボ押しを行う場合の注意点
- 爪を立てず、痛みや不快感が出ない程度の弱い力にする
- 頭皮に炎症、傷、腫れ、強いかゆみがある場所は押さない
- めまい、吐き気、痛みなどを感じたら中止する
- 抜け毛の改善を期待して強く押したり、長時間続けたりしない
ツボ押しや頭皮マッサージ後に一時的な心地よさを感じても、脱毛症が改善したことを意味するものではありません。
女性の髪と頭皮を守るセルフケア

洗髪は頭皮の状態に合わせてやさしく行う
- シャンプーは製品の使用量・使用方法に従い、指の腹でやさしく洗う
- 熱すぎるお湯や、爪を立てた強い洗い方を避ける
- すすぎ残しがないように洗い流し、濡れたまま強くこすらない
- 赤み・かゆみ・フケが続く場合は、洗浄力の強い製品を重ねて使わず皮膚科へ相談する
髪を引っ張る髪型と過度な熱を避ける
米国皮膚科学会の牽引性脱毛症に関する解説では、ポニーテールやお団子など、同じ場所を強く引っ張る髪型を長期間続けると脱毛につながる可能性が示されています。結ぶ位置を変える、ゆるく結ぶ、痛みを感じる髪型を避けるなど、毛根への負担を減らしましょう。ヘアアイロンやドライヤーは高温を避け、髪や頭皮に近づけすぎないようにします。
極端な食事制限を避け、サプリメントは自己判断で増やさない
米国皮膚科学会の一時的な抜け毛に関する解説でも、急激な減量などが抜け毛増加のきっかけとして挙げられています。極端な食事制限を避け、主食・主菜・副菜を組み合わせ、たんぱく質、鉄、亜鉛、ビタミン類を食事からバランスよく摂ることが基本です。
一方で、鉄や亜鉛を多く摂れば髪が増えるとは限りません。過剰摂取による健康被害や薬との相互作用もあるため、欠乏が心配な場合は検査や医師・薬剤師への相談を優先してください。
「22時~2時に寝ないと髪が育たない」という根拠はない
特定の4時間だけを「髪のゴールデンタイム」とする医学的な基準はありません。就寝時刻だけにこだわるより、毎日の睡眠時間を確保し、生活リズムを大きく乱さないことを心がけましょう。強いストレスや睡眠の問題が長く続く場合は、髪の悩みとあわせて医療機関へ相談することも選択肢です。
1週間はケアの効果ではなく「変化」を記録する

髪は短期間で増減を評価しにくいため、1週間の特別なケアで効果を判定することはできません。代わりに、次の項目を同じ条件で記録すると、受診時に経過を説明しやすくなります。
- 分け目や頭頂部を、同じ場所・照明・角度で撮影した写真
- 抜け毛が増えたと感じ始めた時期と、増減の傾向
- 頭皮の赤み、かゆみ、痛み、フケなどの有無
- 2~4か月前の出産、発熱、手術、強いストレス、急な減量
- 服用中の薬やサプリメント、開始・中止した時期
- 月経の変化、疲れやすさ、体重変化など髪以外の体調
女性の抜け毛で皮膚科を受診する目安
次のような場合は、セルフケアだけで様子を見続けず皮膚科へ相談してください。
- 円形・帯状の脱毛斑が急に現れた
- 眉毛やまつ毛、体毛にも脱毛がみられる
- 頭皮の赤み、腫れ、痛み、強いかゆみ、かさぶたを伴う
- 分け目が広がる、髪が細くなる状態が徐々に進んでいる
- 抜け毛が多い状態が続く、または原因に心当たりがない
- 月経異常、強い疲労感、体重変化などほかの症状がある
日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、女性型脱毛症に対するミノキシジル外用が推奨されています。ただし、薄毛の種類によって適切な治療は異なり、妊娠中・授乳中など使用に注意が必要な場合もあります。自己判断で治療を始める前に、医師や薬剤師へ相談してください。
季節性の抜け毛、女性型脱毛症、髪型による牽引性脱毛症の解説では、日本皮膚科学会「一般公開ガイドライン」、同「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」、PubMed掲載研究(季節性)、米国皮膚科学会「抜け毛と脱毛」、同「女性型脱毛症」、同「髪型と牽引性脱毛症」を参照しています(2026年8月19日確認)。
季節の抜け毛・ツボ押しに関するよくある質問
- 季節の変わり目に抜け毛が増えることはありますか?
-
女性の毛周期に季節変動がみられた研究はありますが、すべての人に同じ時期・同じ程度の抜け毛が起こるわけではありません。
抜け毛が続く場合は季節だけが原因と決めつけず、頭皮症状や体調の変化も含めて皮膚科へ相談してください。
- ツボ押しで女性の薄毛は改善しますか?
-
ツボ押しによるFAGA・女性型脱毛症の発毛効果や予防効果は確立していません。気分転換を目的に痛みのない範囲で行うことはできますが、診断や治療の代わりにはなりません。
- FAGAと一時的な抜け毛は自分で見分けられますか?
-
FAGAでは分け目の拡大や頭頂部の密度低下が徐々に進む傾向があり、休止期脱毛症では頭部全体の抜け毛が急に増えることがあります。
ただし両者が重なる場合もあるため、見た目だけで断定せず皮膚科で原因を確認しましょう。
- 抜け毛が増えたときはどのくらい様子を見てもよいですか?
-
円形の脱毛斑、急な脱毛、頭皮の赤み・痛み、眉毛やまつ毛の脱毛がある場合は、長く様子を見ずに皮膚科を受診してください。
分け目の拡大や髪の細りが続く場合、月経異常や強い疲労感などを伴う場合も早めの相談が大切です。
- 抜け毛対策としてサプリメントを飲んでもよいですか?
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鉄や亜鉛などは不足がある場合に重要ですが、多く摂れば髪が増えるとは限りません。過剰摂取や薬との相互作用を避けるため、自己判断で種類や量を増やさないようにしましょう。
欠乏が心配な場合は、医療機関での検査や医師・薬剤師への相談を優先してください。
まとめ|季節だけで判断せず、変化が続く場合は原因を確認しよう
- 毛の抜け方に季節変動を示す研究はあるが、抜け毛の原因は季節だけでは判断できない
- 女性型脱毛症、休止期脱毛症、円形脱毛症などは見分けと対応が異なる
- ツボ押しの発毛・薄毛予防効果は確立しておらず、治療の代わりにはならない
- やさしいヘアケア、牽引や過度な熱を避けること、極端な食事制限をしないことが基本
- 急な脱毛や頭皮症状、進行する薄毛は早めに皮膚科へ相談する
※本記事の情報は2026年8月19日時点です。医療情報は更新されることがあります。症状や治療については、医療機関で個別にご相談ください。

